子供はなぜ同じ事を繰り返すのか?
更新日:2015/09/25
子供は、同じ事を繰り返す。
大人であれば、ほんの数回で飽きることを、何十回も何百回も何千回も繰り返す。
たとえば積み木を積んだと思ったら、バーンと全部崩してしまう。
そしてまた積み木を積んで、バーンと全部崩したりする。
音が出るオモチャを与えれば、年がら年中、音を出して遊んでいるし、一体いつになったら飽きるのか?と思うくらい続ける。
しかしこれには理由がある。
というのも子供は、自分が何かをしたときに、反応が返ってくるのがうれしいのだ。
自分の働きかけによって、何かが起こると言うことが楽しい。
特に3歳までの子供は、耳が発達する時期だ。
3歳くらいまでは、自由に動くことができず、音で周囲の状況を知ろうとしている。
声を出したり泣いたりすることで、親や他人とコミュニケーションを取ろうとする。
そのため、自分が出した音に誰かが反応したり、音が出たりすると安心するしうれしい。
叩けば音が出るようなオモチャや、歩くと音が出るサンダルで喜ぶのも同様だ。
乳幼児向けのオモチャは、必ずと言って良いほど、音が出るようになっているが、「自分で音が出せる」というのが大事らしい。
言葉も身体も不自由な子供にとって、この「自分でできる」のが非常に重要で、だからこそ、自分でできることは、何百回も繰り返すわけだ。
大人や、できる人から見れば、全く同じ事を繰り返しているように見えるが、子供にとっては、なめたり、かじったり、たたいたり、引っ張ったり、かなりいろんな事をしているのだ。
そして同じ動きを何百回と繰り返すことによって、微妙な身体の動かし方が身につく。
武術などでは、一つの技を身につけるまで、3万回は繰り返さないといけないとされているが、子供も同じように、何万回もくりかえすことで、動きや体の使い方を覚えて行くのだ。
自分の行動で、大人を動かしたい
小さい子供は、何度も何度も何度も同じ事を繰り返す。
これは、同じ事を繰り返すことによって、動きを身につけるためだろう。
武術では一つの動きを身につけるまで、3万回は繰り返さないといけないと考えられているが、それと同じ事だ。
できるようになるまで、何万回もの繰り返し練習は、どうしても必要なのだ。
また、自分がやったことに対して、何が起こるのかを、観察している場合もある。
そして自分が思った通りの反応がないと、自分の意志が伝わってないのかと思って、何度も何度も同じ事を繰り返すのだ。
同じ絵本を、何度も何度も飽きるくらい読んでもらおうとするのも、実は「思ったことが起こる」かららしい。
単純に興味本位で、同じ事を繰り返すこともある。
これがハッキリしているのがADHD(注意欠陥・多動性障害)の子供たちだ。
ADHDの子供の中には、いきなり他人を叩いたり蹴ったりして、ただニコニコして見ていることがある。
叩いたり蹴ったりしたら、何が起こるだろう?と思ってやるらしい。
これを「ちょっかい行動」などと言うが、小さい子供の頃は、誰でも普通にこれをやる。
どこかの家の玄関のブザーを押して逃げる「ピンポンダッシュ」という遊びも同じだ。
いたずらをしたり、ウソをついたり、汚い言葉を言ったりして、大人の表情や様子を伺うのも同じだ。
何らかの方法で人を動かして、その挙動を見たいということらしい。
子供でなくても、他人を動かす事ができると、自己評価が高まるし、自信につながる。
逆に親や周囲の大人を動かせないと、自己評価が下がって、自分はダメだと思う。
そのため、大人が動くまで、とにかく繰り返すわけだ。