10歳は、人間としての悩みの始まり
更新日:2014/07/05
子育ての節目は3歳・7歳・10歳だという。
そしてその中でも10歳は、特に大きな節目だという。
というのも人間の脳は、10歳にはほぼ完成して大人の脳になり、抽象的なことが理解できるようになるからだ。
そのためまず、勉強が難しくなる。
国語では、感情が入り交じるような心情の読み取りや、抽象的な言葉が多い文章を読み始める。
算数では小数や整数などの数が登場するし、速さや濃さ、面積や体積などの概念も出てくる。
こういう抽象的な概念が出てくると、学校の勉強について行けない子供が増え始める。
今までは、具体的なモノ、目に見えるモノについて学んでいたが、目に見えないモノについて学び始めるからだ。
これを教育関係者は「九歳の峠」とか「10歳の壁」と呼んでいる。
また10歳前後ではもう、自分自身を客観視できるようになる。
たとえば自分がどういう性格で、何が得意で何が苦手か言えるようになる。
ところが皮肉なことに、自分を客観視できるようになると、今度は多くの子供の自尊心が傷つき始める。
自尊心というのは「自己イメージ」のことだが、10歳を過ぎると、自分を他人と比べることができるようになるため、運動やスポーツができない子供や、成績が悪い子供は「自分はできない人間」だと思ってしまうのだ。
さらに10歳になると、未来についても考えることができるようになり、そのせいで自分の将来を悲観する子供も出てくる。
「冷やかし」や「からかい」などの「いじめ」も増え始め、不登校や自殺なども次第に増えていく。
つまり10歳というのは、そのあとに続く様々な問題のスタート地点であり、うまく乗り切ることが非常に重要な時期だということだ。
違いがわかる=ダメな自分に気がつく
10歳は、人間としての苦悩の始まりの年齢だ。
勉強は抽象的な概念が多くなり、ついて行けない子供が増え始める。
意味のわからない言葉が増え、知らない言葉は聞き流すクセがつく。
暇つぶしばかり上手になり、授業中に消しゴムカスで遊んだり、シャープペンシルを分解したりして遊びだす。
こうなってしまうと、学校で聞いた話は上の空で、家に帰ってきたら何にも覚えていない状態になる。
授業が終わったら何をしようか、学校が終わったら誰と遊ぼうかということばかり考えているから、授業で習ったことなど、どんどん消えていく。
そうしてみるみるうちに成績が悪くなる。
また10歳頃には、自分自身を客観的に見ることができるようになる。
そして「自分は勉強ができない」、「自分はスポーツができない」などと自分を評価して、自分のできなさに愕然とする。
「モノが見えるようになる」と言うことは、「差」や「違い」がわかると言うことだから、自分と周囲の同級生との差がわかるようになる。
クラスや集団の中での序列も徐々にわかってきて、自分の思っている自分自身のイメージと、友達や教師が思う自分のイメージのギャップに驚く。
物事を比較できたり、過去や未来をイメージできるようになったおかげで自分自身のあら探しもできるようになってしまうわけだ。
ところが、この壁の乗り越え方が子供にはよくわからないため、キレたり暴れたり、抑圧委譲(からかい・いじめ)という行動に出る。
逆に意気消沈して、元気がなくなってしまう子供も増える。
そのため、10歳を過ぎると「からかい」などのイジメが増え始め、不登校や自殺なども少しずつ増えていく。