ジェンダー論と男女の性差
更新日:2015/09/27
お父さんのための子育て入門。
女の子の育て方。
次は「男女の性差」について。
男性と女性はどう違うのか?どういうのが男女の性差で、何が男女の性差ではないのか。
80年代に「ジェンダー論」というのが流行って、「男女は、肉体的特徴・能力は異なっても、その他の能力や性質は同じだ」という考え方が主張されたことがある。
ジェンダーというのは「性別」のことだが、当時のジェンダー論というのは、「男女差は育てられ方や社会によって作られ、全く同じ育て方をすれば、差はできないはずだ」というような主張だったようだ。
男女の性差は後天的に作られるモノで、先天的には性差はないはず、と言うことだね。
この主張は男女同権やフェミニズムに、非常に都合が良かったのか、瞬く間に拡がった。
しかし残念ながら、この考え方には、「医学的根拠」や「科学的根拠」がなかった。
そして90年代には、男女の性差について、様々な研究報告が多く出され、先天的な男女差がしっかりあることが示された。
そして脳機能イメージング技術によって、脳内の血流量をCG(コンピューター・グラフィックス)で調べて表現出来るようになると、男女で脳の使い方に違いがあることも分かってきた。
こういう男女の脳の違いは、遺伝的に起こったり、子供が母親の胎内で成長する過程でも起こり男っぽい女性や、女っぽい男性がいる理由も、大まかには分かってきた。
モノを見るのにも男女差・性差がある
男と女は違う。
見た目や特徴も違うし、実は脳の使い方も異なる。
もちろん男っぽい女性もいるし、女っぽい男性もいるので、全く違うというわけでもないが。
80年代には、男も女も同じで、違うのは「育てられ方」や「求められる能力」だという主張も流行った。
しかし実際には、男女でかかりやすい病気も異なるし、価値観や行動にも大きな差がある。
では男女で具体的に何が違うのかというと、まず五官や脳の機能が異なる。
たとえばモノを見る時に、男の子は比較的キョロキョロしているが、女の子はじっと見つめていることが多い。
これは目の視細胞の構成が男女で違い、さらに脳の働きも男女で違うからだ。
視細胞というのは脳の奥にある細胞で、光や色を感じる細胞なのだが、男の子は緑色を感じる細胞が鈍感で、色に関する感受性が鈍い。
その代わりに、動きを察知する細胞と、それに反応するニューロン(脳神経細胞)が発達しており、動くモノに敏感に反応する。
もう少し詳しく書くと、モノを見る時、目で捉えた情報は頭の後ろ側の「後頭葉」(こうとうよう)と言うところに伝わる。
そこから頭の頂点を通るコースと、脳の腹側を通るコースに電気が走る。
後頭葉から頭の頂点を伝わる経路を「背側皮質視覚路」という。
もっと簡単に「背側経路」とか、「where経路」と呼ぶ事も多い。
背側経路は「モノの位置」や「速さ」「行方」を分析する経路だ。
男の子は女の子よりこの経路のニューロン(脳神経)が25%程度発達していて、モノの動きや運動に敏感に反応出来るという。
モノの動きや運動に敏感なので、男の子はキョロキョロしやすいって事だね。
一方、後頭部から脳の腹側を通る経路は、「腹側皮質視覚路」という。
もっと簡単に「腹側経路」とか、「what経路」と呼ぶ。
こちらは、目で見たモノの色や形から、モノや状態などを分析する経路で、それが何で、どういう状態なのかを見極める。
「これって何だろう?」と色から情報を読み取ろうとするので、モノをじっと見るという動きになる。
女の子は色に敏感で、色から多くの情報を得ようとするため、女の子はモノをじっと見つめることが多いらしい。